6BM8-マッキントッシュ型CSPP

1.改造の経緯と外観

 6BM8PP6BM8並列給電型SEPPへと改良し音は気に入っていたのですが、 その高域特性(周波数特性と歪率)に不満でした。そんな折、ARITOさんからバイファイラ巻のOPTを譲っていただくという幸運に恵まれました。
 頂いたOPTは10kΩで6BM8には少しインピーダンスが高いので、適当な球を使ってマッキントッシュ型のCSPPを作ろうと思っていたのですが、 「6BM8並列給電型SEPPの高域特性は、OPT依存なのではないか?」と思い、SEPPの回路のままOPTを変更(OPTはプレート側・カソード側ともに直列にしました)してみると、 優秀なトランスのお陰で、周波数特性は確かに改善されたのですが10kHzの歪率は思ったようには改善されませんでした。
 今思えば当然の結果なのですが、当時は全く検討もつきませんでした。

 外観はOPTを乗せ換えただけですがマグカップのトランスカヴァーはお役御免となりました。

 並列給電型SEPPはCSPP回路(詳細は上條さんの CSPP回路の基礎解説を参考にして下さい)であり、接地位置が異なるだけですからOPTの接続を変更するだけでマッキントッシュタイプのCSPPアンプとなります。 そこで次のようなCSPPに変更してみる事にしました。

2.回路

 基本的にSEPPの回路と同じです。

B電圧の変更 OPTのインピーダンスが10kΩなので少しでも出力を稼ぐため、PTのタップの位置を戻してB電源(VB)の電圧を230V(実測は240V位)に変更しました。 (C電源(VC)も倍圧整流で得ているため同様に変更されます。)

PSDCの定数を変更 B電源(VB)の電圧を変更したためPSDCの定数を変更してアジャストしています。

SG電圧 は同じになるのでSEPPの時にU1bのSGに入れたツェナーは取除きました。

上下管の結合キャパシタ このOPTはバイファイラ巻ですので、上下管をC結合する必要は有りません。 このためSEPP時にU1bのプレートとU2bのカソードを結合していたキャパシタは、取除きました。

DCバランスサーボ(Vadj) このアンプもVadjの部分には、6BM8SEPPと同じDCバランスサーボが入ります。

シミュレーションによる性能
none NFwith NFNF量最大出力
利得26.99倍10.20倍8.45db6.25W
D.F8.8125.05

3.歪率のシミュレーション

 上のグラフは1kHz(左)10kHzと(右)のFFT解析です。(オーバーオールのNFあり)

 上下管が完全対称動作のCSPPらしく2次歪が大変小さくなっていて、周波数依存性も有りません。

シミュレーションによる歪率
none NFwith NF
100Hz0.158%0.064%
1kHz0.159%0.069%
10kHz0.159%0.064%

4.最大出力のシミュレーション

 クリップ波形のシュミレーションです。OPTが10kΩなので下側がクリップする前に上側が先にクリップしていて、上側がクリップすると不足分を補うように下側が伸びているのが解ります。

5.実測データ

当時に測定した歪率の実測データが残っていたので参考までに掲載します。
何れも、赤=None NF・紫=With NFです。
100Hz

1kHz

10kHz(サンプリングが44kHzなので2次歪だけです)

一応歪率を計算してみると
none NFwith NF
100Hz0.242%0.112%
1kHz0.169%0.079%
10kHz0.079%0.063%
10kHzが極端に良い値になっているのは、3次歪が主体であるにも関わらずサンプリング周波数が44kHzのため、 10kHzの3次歪が採れていないためです。
 10kHzは除外するとして、100Hzは残留ノイズの影響と判断すると大変低歪のアンプに仕上がっていると思います。

同じトランスで10kHzの2次歪のSEPPとCSPPの比較
CSPPに変更前のSEPPの実測データも残っていたので比較してみました。(赤=SEPP・紫=CSPP)

 左はSEPPの10kHz歪率のシミュレーション結果です。CSPPの場合も実機の方が2次歪はシミュレーションよりも多く、 割合だけでみるとSEPPの方が、CSPPよりも約10dB悪い値でほぼ一致します。ということは、キャパシタによる歪補正の効果が期待できそうなので、別のアンプでもう一度挑戦しようと思います。

周波数特性(赤=NFなし・紫=NFあり)

 高域でうねっているのと、全体に少し右下がりなのはサンプリング周波数の問題と私の測定環境の問題だと思われます。

実測の歪率(10kHzは2次歪だけです)
Lch NF無Lch NF有Rch NF無Rch NF有
100Hz0.242%0.112%0.230%0.071%
1kHz0.169%0.079%0.185%0.088%
10kHz0.079%0.063%0.102%0.075%

実測の基礎体力
LchRch
最大出力6.89W6.33W
D.F NF無8.268.18
残留ノイズ0.21mV0.22mV
利得NF無23.53倍25.12倍
利得NF有10.23倍10.18倍

 私の実力からすれば、大変優秀なアンプに仕上がっていると思います。
 このような優秀なアンプに変更する機会を与えていただいた ARITOさんに心よりお礼を申し上げます。
 本当にありがとうございました。

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