外観

フロントパネルには、電源SW・LED・音量調節・入力切替SWを設けました。初めての自作でまともに動作するアンプになるか不安だったので、「なるべく費用を掛けたくない。」との思いから外装は100円ショップのフル活用です。

フロント及び上部パネルはMDFにスプレー塗装。側版も100円の板を透明ニスで塗装。出力トランスのカバーに何か良い物は無いかと探していると、見つけました1個200円のマグカップです。更に、電源トランスのカバーは紅茶の空き缶でした。

後でSEPPに改造した際に、紅茶の空き缶はタカチのMB-5に変更して、少しヴァージョン・アップ(?)しました。

リアパネルと内部

リアパネルは、こんな感じです。入力三系統・スピーカー出力は8Ωと4Ωの端子を持っています。 後はヒューズとACアウトレット端子を取り付けました。

私はOPT-10P(5kΩ)を使用したので、差動の場合4Ωの端子に8Ωのスピーカーを接続しました。

内部はこんな感じです。穴あきの汎用基板に組んだのですが、熱対策を考えると真空管のソケットも初段の半導体と同じ基板に取り付けたのは失敗でした。

でも、このときは熱対策などの知識も有りませんでした。

回路

 初めて自作したアンプの最終版は、このような回路になりました。

全段差動 回路上はC2(470μF)のコンデンサーで出力段の共通カソード抵抗R5(470Ω)をバイパスしてありますが、実際はSWで切り離せるようにして、切り離すと全段差動超三PPとして動作するようにしました。

出力段のプレート電流安定化 当初、出力段のカソード電圧制御(=出力段のプレート電流制御)のサーボ回路(Q7, Q8)は入って無く、温度変化で出力段のカソード電位が定まらなかった。出力段のカソード電圧を初段の低電流回路にフィードバックして、カソード電圧が上昇すると初段の電流が増加する事で出力段のグリッド電圧が下がり、プレート電流を減少させるように働きます。

初段FETの保護 出力段のプレート電流安定化の為に挿入した回路は、初段が出力段より先に立ち上がると、VBの電圧が初段のFETにかかり壊れてしまう。このため、出力段のグリッドよりカソードに向かってダイオード(D1, D2)を挿入しました。

DCバランスサーボ(Vadj) 回路図上のVadjの部分には、下記のようなDCバランスサーボが入ります。

シミュレーションの結果は後ほど述べますが利得は、13.31倍 22.48db (none NF) 8.57倍 18.66db (with NF)となりました。オーバーオールのNFは4db弱という事になると思います。

DCバランスサーボ(Vadj)

 超三極管接続はインピーダンスが極端に低くなるため、DCバランスサーボが不可欠だそうです。

 このDCバランスサーボ回路は、上條さんの EL34超三極管接続Ver.1プッシュプルパワーアンプの製作を参考にさせて頂きました。

 参考までに VR1-a・VR1-b及びVR3-a・VR3-bはそれぞれ1個のVR(100Ω)です。このように抵抗値を入力すると、.paramパラメータによりS及びTの値を設定すると2個の抵抗を1個のVRのように扱えます。(.paramパラメータはEditメニューのSPICE directiveを使って直接入力します。)

歪率のシミュレーション

 出力1W(NFあり)のFFT解析です。左が普通の超三PPで右が超三差動PPです。差動の効果でしょうか、2次歪が大きく改善されています。 歪率を計算してみると、どちらも3次歪が主体になるので-53.15db=0.22%と言うところです。 実機での音の違いは、私の耳では良く解りませんでした。どちらかと言えば、差動の方が大人しいかな?という程度でした。

周波数特性のシミュレーション

 出力1Wの周波数特性です。周波数特性に関しては超三PPと超三差動PPの違いは見られなかったので、左がNFなしで右がNFありです。NFの効果で上下ともに周波数の改善が見られます。実機での音の違いは、私の耳では、やはり良く解ら無いのですが、どちらかと言えば、NFありの方が音がすっきりする感じがしました。

最大出力のシミュレーション

 クリップポイントをシミュレートしてみました。左が普通の超三PPで右が超三差動PPです。 緑=OUTの電圧、赤=出力段(U1-b)のIp、青=出力段(U2-b)のIp。 Ipは差動の場合、本来上下対象になる筈ですがスクリーングリッドの電流が影響して下側が伸びています。ネイティブ動作の出力段差動というのは無理が有るのかも知れません。 また、差動は電流バランスが崩れた時点でクリップしますので、差動の方が早くクリップしています。

ノンクリップでの最大出力を計算すると、超三PPは10.1V=6.37W、差動は7.5V=3.5W。

実機の最大出力は、シミュレーションの8割ほどの出力でした。
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