更新情報

Sep/10/2014 KT66を挿したのと超三接続(PG帰還)を止めました。

変更内容は 9.KT66
を参照して下さい。

Jul/18/2014 6SN7をTunr-Solの6SN7GTBに交換したので、超三接続に変更してみました。

変更内容は 8.超三接続
を参照して下さい。

May/22/2014 6V6GTを旧ソ連製の軍用管6n6c(6P6S)に挿し換えたのを機会に、温度対策を行いました。

変更内容は 7.PSDC見直し
を参照して下さい。

1.外観

4年ぶりにCSPPアンプを製作してみました。現行管でGTベースで安価、出力も12W前後と手頃。電源に余裕があれば6L6系の球が際変えて楽しめそうという事で、出力管はElectro Harmonixの6V6GTに決めました。

初段の負荷として350Bでも使用した6SN7、こちらもElectro Harmonix製です。6V6GT_EHのロゴの色に合わせてアンプの色もブルーにしたのですが、肝心のロゴが横を向いてしまいました。 出力トランスは東栄変成器のOPT-20P(5k)を改造、電源トランスも東栄変成器のP-220。(電源容量に多少余裕があるので、一度聞きたいKT66も挿せそうです。)

OPT-20Pを改造して使用したのは、6BM8SEPPの時に使用したOPT-10Pと比較してUL接続用のSGタップ(50%)が出ているので、CSPPに使用できると思ったからです。

ケースは350Wx60Hx250Dの弁当箱シャーシにMDF材を塗装したトップ・フロントパネルです。OPTのケースは、百均ショップで見つけたミルクパンを塗装しました。

2.内部

今回もゴチャゴチャしている内部です。高耐圧コンデンサーが縦横4個ずつ並んだグランドクロスならぬ、コンデンサークロスとなりました。別段グランドクロスを意識した訳では無いのですが、電源を最後に製作したため配置に困りこのような形になりました。

太目のシールド線を何本もセレクタまで配線できる器用さは無いので、今回もアルミパイプを使いセレクタのシャフトを延長しました。

左右中央に並んだ4個の大型のコンデンサ(560uF/400V)は上下の出力管のP-Kをクロスして繋ぐコンデンサ(回路図中C1,C3)です。 実はこのコンデンサの配置を先に決めてしまったため初段の基板とDCバランスサーボの基板が、4つに細分化されるという事態になってしまいました。

中央のアルミサッシは、結果的に補強も兼ねているとは思いますが、実際は最後に追加したB電源のフィルター用コンデンサと抵抗を取り付ける為の苦肉の策です。

初段のカスケードで使用した2SC5460は、結構発熱するので小さな放熱板を挟んで熱結合しました。

3.回路

 電源電圧は完成後の実測値に近い値にして有ります。

 回路は基本基本的に350BCSPPと大差有りませんが、今回は超三接続を止めて6SN7のプレートへは+B1電源から直接供給(抵抗で50V程下げています。)しています。 本当はスイッチで切り替えて音質の変化を確認したかったのですが、ElectroHarmonixの6SN7の規格を調べた所プレート電圧の定格が300Vとなっていたために諦めました。

 後は初段のFETに2SK79を採用したのと、倍圧整流で得た嵩上げ電圧が大きいのでカスケードに使用した高耐圧Trを2SC2752からより耐圧の高い2SC5460に変更しました。

PSDCのシミュレーション 今回はPSDCのシミュレーション精度を上げるために、シミュレータの2SC1815のVbeを実測値に合わせて設定したので、プレート電流調整後のVR2の値がシミュレーション近い値(約8.5k)となりました。 尚、回路上R8,R10の値は同じ理由で実測値を使用したからです。 また、このエミッタ抵抗をパラって中途半端な値にしているのは出力管の差換えでプレート電流を調整してもPSDCを機能させるために、プレート電流の変動がなるべく小さくなるようにシミュレーションを繰り返して定数を決定した結果です。 シミュレーションでは左のようにB1でんげんの±100Vの変動に対して3mAの変動に治まっています。 実機上の観測でも殆ど変化せずに(±1mA程度の変動)安定しています。 実機上VR2は5.6kの固定抵抗に5kの多回転タイプの可変抵抗をシリーズにして使用しています。ここは多回転タイプで無いと調整が難しいです。

4.電源

 本機の電源です。トランスは東栄変成器のP220です。その下のP180でも充分だと思うのですが、6V6は6L6などピン互換の球が沢山あるので、差換えを意識して少し余裕の有るこのトランスを採用しました。

 嵩上げ電源は250Vの中間タップから倍圧整流で得ています。6V6のヒーターバイアスはB1-B2間を抵抗分割でB2電源+50Vにしています。

 製作当初は電源リプルに強い差動入力のCSPPということで、C1,C2(100uF/450V)とその前後の抵抗によるリプルフィルターは入っていなかったのですが、製作してみるとB1-B2間が370Vもあり、少し下げたかったのと残留ノイズも3mVと気になったので後付けで挿入しました。

 尤も、残留ノイズは電源リプルのせいでは無くアースラインの引き回しが拙かった事が後でわかりました。

5.OPTの改造

OPTは再び掟破りの改造版です。今は、ARITOさん設計の高性能バイファイラ巻トランス 染谷電子のASTR-12,ASTR-20が市販されており、市販のトランスを改造して用いる必然性は全く有りません。 取ってつけたような理由を述べれば、CSPPの発案者である島田式への拘り(?)、多少のコストダウン、ささやかなオリジナリティーへの拘りなど挙げれない事は有りませんが説得力が有りません。 強いてあげれば、UL接続用のタップが50%という仕様を見たときに「これは使える。試してみたい。」という衝動に駆られたからでしょうか。 ただ、6BM8静電給電型SEPPでも経験した事ですが、CSPP回路の優秀性のおかげで安価な出力トランスを使用してもDEPPとは次元の違う音がする事は今回も確認する事が出来ました。

改造仕様 OPT-20P(5K)の直流抵抗を測ってみると左上の表の通りでした。この表から左下左のような結線であろうと想像し、内側の2つのレイヤーをカソード側で外側の2つをプレート側で使用することに決めました。 具体的には、B・SG1・SG2端子の結線を全てバラして4つのコイルを全て独立させて間違わないように色分けした8本の線を引き出しただけです。(まさかとは思いますが、何の保証も無いOPTの改造という禁断の木の実を食べてみたい方は、御自分の責任でお願いします。)

6.諸特性

 歪特性 アースラインの引き回しを変更した事により、残留ノイズが0.3mV以下に下がったのでWaveGenとWeveSpectraを使って歪率を調べてみました。 測定環境を整えれば、もう少し良い特性なのかもしれませんが個人的には充分満足な特性です。何より音はピカイチです。

 最大出力 約12W

 総合利得 Lch:15.5倍(23.80dB)  Rch:15.6倍(23.85dB)

 残留雑音 Lch:0.3mV以下  Rch:0.3mV以下

 D.F    Lch:7.78(1.0W)     Rch:8.08(1.0W)

 周波数特性 WaveGenとWeveSpectraを使って20~20kHzの周波数特性を確認してみました。OPT-10Pで経験した高域特性の劣化は無さそうなので取り敢えず安心しました。

 雑感 CSPPの音は今回も期待を裏切る事無く、快適で幸せな時間を与えてくれています。

7.PSDC見直し(May/22/2014)

 旧ソ連製6n6c(6P6S) このアンプはelectro-harmonixの6V6GTを使用していたのですが、調整中の私のミスでプレートが真っ赤に灼熱してしまった1本が二月ほど前についに昇天してしまいました。 何時逝ってもおかしくないとは思っていたのに、半年の間よく頑張ってくれました。 早速、交換用の6V6を購入しに秋葉原へと出かけていったのですが、旧ソ連製の軍用管6n6c(6P6S)が1本1000円と格安だったので予備を含めて6本購入。 これを機会に気になっていたところを何点か修正することにしました。

 改良点

 1.バイアスを表から調整できるようにしました。 今後の差換えも考え側版に穴を空けてバイアスを表からチェックできるように、初段の基板を変更して表の放熱用の穴から調整できるようにしました。

 2.ヒーターバイアスを嵩上げ電圧レベルに変更。 electro-harmonixの6V6GTはhk耐圧が+100,-200となっていたので嵩上げ電圧から50Vほど持ち上げていたのですが、嵩上げ電圧レベルにしました。

 3.2SC5460を独立させました。 初段のカスケードTr.2SC5460は思ったより発熱します。2.5mA×350V=0.875W良く考えてみると当然かも知れません。この熱源が初段と同じ基板に取り付けられていたため、初段の温度特性を悪化させていたと思います。そこで、放熱板を少し大きな物(と言っても40×50×15mm程で1個100円でした)に変更し初段の基板から独立させ5cm程離して取り付けました。

 4.PSDCを変更しました。 このアンプは直結なので温度特性による初段の電流の増加は出力段のバイアス電流の減少として顕著に表れます。 そこでまず、定電流回路のTr.の温度特性を打ち消すように電源電圧の変動の検出分をカレントミラーで受けるようにしました。 もう一つ定電流特性を向上させるために定電流回路のエミッタ抵抗(R8)を1.5kΩに変更。もう少し大きな抵抗を使いたい所ですが、電流が約5mAでマイナス電源が6.3Vの倍圧整流で得た18V程度なので余裕が有りません。 回路図のダイオードD1はPSDCによる電源変動打消し比率を成立させるための電圧嵩上げです。VR2は実測11kΩ程になったので、本当は1.2Vほど嵩上げしたいのですが丁度良いダイオードもLEDも見当たらないので我慢する事にしました。 ここもエミッタ抵抗(R8)を3kオームぐらいにすると2.0V程の嵩上げとなって赤色LEDあたりが使えそうなのですが、マイナス電源に余裕がありません。 左図中央は、B電源を300~420V変動させた場合のバイアス電流のシミュレーション、左図下は温度変化によるバイアス電流のシミュレーションで、赤はD1を温度変化の参加させた場合、青は参加させない場合の変化です。 D1はなるべく熱源から話して取り付けたのでこの中間より青に近い変動だと思います。実際に12時間ほどバイアス電流を観測してみましたが、±2mA程の変動(おそらくこれは、電源電圧の変動による物と思われます。)しか現れないので、温度変化によるバイアスの変動は心配の必要が無くなったと思います。

 6n6c(6P6S)の音 electro-harmonixの6V6GTと比較すると良い意味のドンシャリ感があります。低域は重心が下がったような感じで、高域は管楽器が爽快に突き抜ける感じです。女性ボーカルのサ行が少しきつくなるような気がするのでNFの補正Cを200pF程度に使用かと考えていますが、暫く様子を見ようと思います。

8.超三接続(Jul/18/2014)

 Tung-Sol 6SN7GTB electro-harmonixの6SN7をGTB使用だと思い込んで買ってきてしまったために、初段の電圧を50V程下げていたのですが「6n6c(6P6S)導入時の改造でこの6SN7を傷めたのでは」という心配と「本来GTBでなければ」と言う思いが合致してTung-Solの6SN7GTBを購入しました。 暫くは回路はそのままで挿し換えて聞いていたのですが、electro-harmonixの6V6GTの時の時おり女性ヴォーカルのサ行がきつくなる感じが無くなり、とても気に入っています。(electro-harmonixの6V6GTは傷んでいたのかもしれません。)

 さて、GTBに交換したので初段の電圧をB電源レベルに戻す序に超三接続(PG帰還)との音の変化も確認したくなりました。回路の変更は基本的に6SN7GTBのプレートを6n6c(6P6S)プレートに繋ぐだけなのですが、プレート電圧が50V程上昇するためにPSDC回路の定数の見直しが必要です。

 変更後の回路は左図の通りです。が、電圧嵩上げに使用した赤色LEDの順方向電圧(実測1.85V)が少し高すぎるようです。シミュレーションによれば1.5V位が丁度良さそうなのですが、今のところ良い手を思いつかないので暫くこのままで様子を観る事にします。

 超三接続の音 音の違いですが、正直言って大きな違いは感じられません。これは、6BM8SEPPを製作したときにも感じたのですがCSPPの場合超三接続(PG帰還)によって、低音が強力になったり音が元気になったりと言った劇的な変化は感じられません。(私の駄耳の所為かも(笑))逆にゲインが少し下がった所為かも解りませんが、却って少し大人しくなったような気さえします。 どちらが良いかもう暫く聞き込んでから判断したいと思います。(切替スイッチを付けて置くべきでした。)

9.KT66(Sep/10/2014)

 KT66を挿した外観 6P6Sの音は気に入っているのですが、Gold LionのKT66(復刻版)のスタイルが気に入ったので挿し換えてみました。 流石に堂々とした大きさの球なので、筐体やトランスが少し貧弱にさえ見えます。音の感じは6P6Sと製版体と言う感じで繊細で高域が伸びたような感じがします。(個人的な感想ですが、electro-harmonixの球に共通の線の細さはあるような気もします。)

 超三接続の音 6P6Sを挿したときに超三接続の音に大きな違いは感じられないと思っていたのですが、少し大人しくなったような感じが消えずPG帰還(超三接続)を止めて6SN7のプレートはB電源に接続しました。 超三接続はどちらかと言うと音にメリハリが聞いて元気な音になると言う印象があったのですが、CSPPとは相性が悪いのか逆効果のようです。元々50%のカソード帰還が掛かっているので超三接続とは違う動作になるのかもしれません。 ただ、音が悪くなったと言うわけではなくどちらの音が好きかという好みの問題だと思います。ところで流石にペアチューブです、歪(THD)が半分になりました。 6P6SとKT66音のタイプは異なりますが、どちらもお気に入りの音になりました。(バイアス調整を切替スイッチでなどと考えてしまいます。)

 PSDCを変更 電圧嵩上げに使用した赤色LEDの順方向電圧(実測1.85V)が少し高すぎるので、調整抵抗側にもダイオード(D4)を挿入して0.56V程持ち上げました。 差し引き1.3V位いですがバイアス(50mAに設定しています。電源トランスに余裕が無いのでこの位がいっぱいだと思います。)は安定しているようです。

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